異常旅行者たちが5泊6日のサイコロの旅をした話 序章
2020年1月16日。午後7時、新宿のとあるマンションの一室にて諦念のような、あるいは悲痛のような叫び声が複数漏れ出たという。
「長崎かよぉ〜」
目次
①はじめに
みなさんこんにちは。わいないなです。
この度、2020年2月10日から15日まで卒業旅行と称して、一部の旅行界隈からは「神聖なる儀式」と称されることもあるサイコロの旅を敢行してまいりました。
…とはいえ、サイコロの旅がどのような代物なのかを知らねば、この旅の本質が理解できないので改めて解説することとします。
そしてこの記事が序章というのも、ここに記される内容が「スタート地点にたどり着く前のお話」である為です。ご了承ください。
当記事から始まる一連のシリーズはおそらく10記事くらい掛かります。
それくらいしんどかったんじゃ。
②サイコロの旅とは?
サイコロの旅とは、1996年から2001年まで毎週水曜深夜時間帯に放送され、現在でも不定期にて放送される北海道テレビの番組「水曜どうでしょう」にて登場する企画である。
旅番組としての性格を強く持つ「水曜どうでしょう」であるが、一般的な旅番組のそれとは異なり破天荒なロケが敢行されるのが常。その中でも代表的なものが、このサイコロの旅なのである。
ルールは簡単。ただし、それは生半可なものではない。
6つの選択肢が書かれたボードに現在地・現時点で乗車可能な交通機関と行き先をリストアップ。
どこに行くのかは運命のサイコロを振って決定。
出た目に書かれた行き先がたとえ札幌と逆方向であっても、そこに行かなければ次のサイコロは振れない。
つまり、交通機関があるかぎり札幌にゴールするまでは常に移動し続けるという超過酷な企画なのだ。 (サイコロの旅5 第一夜より)
ちなみにリストアップはこんな感じで行われる。(図:サイコロの旅3より)
…さて、なぜこの企画が一部旅行界隈でカルト的人気を誇るのか。
それは、旅行界隈がドMだからルールや趣旨がシンプルであり、一度の旅で複数の目的地に行けることであろう。
ただし、「水曜どうでしょう」のように金にモノを言わせるととんでもない金額・体力が必要な為、大体の人たちはフリー切符などを利用してサイコロの旅をすることが多い。
例えば、一年の特定期間にJRから発売されるフリーきっぷである「青春18きっぷ」を使えば、特急や新幹線に乗ることはできないが1日2350円(2020年現在)でJR乗り放題である。その為、このきっぷを使ってサイコロの旅を楽しむ人も多い。JRは深夜帯に運行される列車はほぼない為大概は苦痛なく大体楽しめるのも理由であろう。
が。
今回我々が課したルールは。
国内縛り(パスポートを持っていない人がいた+コロナウイルスなどの問題)のみである。
目的地選定において、各々が望む(あるいは望まない)目的地をその日のコーディネーター(目的地までの旅程やチケット手配を一挙に担当する)に送り、コーディネーターが出目の目的地を記したボード(以下、出目)を書き記す、我々独自に設定した出目の決め方を採用すること。そして、最終目的地が東京であるという二つの条件こそあるが。
我々は目的地へ移動する為なら特急も、新幹線も厭わない。
なんなら飛行機すら厭わない。
そんな、一般旅行者からすれば、目的地に着いた途端また移動を始める「異常」な6日間の旅を書き記します。絶対に真似しないでください。当記事にそんな責任は取れません。
③序章の序章:初っ端から何かがおかしいぞ
…そして冒頭の文章に戻るわけである。時系列を追って話すこととしよう。
私が所属している大学の旅行サークルの面々は、どこか「異常」な側面を持っている人たちであった。それは良くいえば一般旅行者が考えないようなプランを立案できるということでもあり、悪くいえば一般旅行者がやるはずのないプランを立案してしまうということでもあった。
そう、我々は異常旅行者なのである。
サークルに現役として在籍していた3年生までに、我々は北海道や九州はもちろん、ほぼほぼの首都圏の旅行先には行っていた。だから卒業旅行は当初は海外なのかとも思ったが、我々は当然なのか偶然なのか、皆「水曜どうでしょう」を知っていた。
卒業旅行はサイコロの旅に決定した。
…今思えば、卒業旅行の行き先としても異常旅行者のそれであろう。
ただ、初日にいきなりサイコロを振るのでは予約や空席があるか心配だ。それならば予めサイコロを振って行き先を決定させようということで、新年会も兼ねてマンションの一室にて集まった次第である。そして異常が発生した。
最初の出目選定は、「各自が行きたい場所」と「行きたくない場所」をコーディネーターに送信し、1~4の出目に「行きたい場所」を、5,6に「行きたくない場所」を抽出して配置した。
=====出目=====
- 1:名古屋
- 2:名古屋
- 3:大阪
- 4:明石
- 5:長崎
- 6:(夜行バス)で博多
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この時点では、開催日が2月9日からのスタートであった。私は、その日名古屋にてコンサートに出演しており「もしかすると聴きに(来させる)来てもらえるかもしれない」という思惑で名古屋をプッシュした。その為名古屋がダブっている。
まぁ、そんなに現実は甘くなかった。
先に言った通り長崎がスタート。
いきなり顔色がおかしい皆さん。「俺は振ったサイコロに忠実だ」と言いながらその場で長崎便の予約をする者も。そうだその意気である。
なお、予約の関係で長崎に行くならば2月10日の方が都合が良いということで、私以外の皆は成田空港から飛行機で移動が決定。私は名古屋から新幹線と特急を乗り継ぎ長崎で合流する、という次第となった。
この時彼らが予約した飛行機は成田空港を9時代に出発する便。結構早い。そしてこの選択がすぐ後の自分に厄災を振りまくこととなる。
…そう言えばコンサート当日、彼らは戸田のボートレースを観戦していたらしいです。全員残金減らしてた。意味ねぇじゃん。
④序章:初日にしてもう疲れたよ
コンサート後、旅館にてオールの打ち上げが開催された。まぁ飲んだ。まぁちょっとは寝た。そんなこんなで朝5時半。
なぜか自分と同じようにほぼ始発の列車に乗る仲間(今回のメンバーではない)と共に宿を去り、名古屋駅へ。
無事にのぞみ号の座席も確保し朝食を食べながらTwitterを眺めていると…
一番忘れてはいけないものを忘れてしまいました。
幸いにも直接的にこの旅には必要ではなかったにせよ関係各所には大変申し訳ありませんでした…
気付いたのも新幹線の発車後。諦めて旅行後に東京で受け取ることに。
いきなりトラブルに見舞われながらも、どうにか博多に到着。オール明けだからかふと気付いたら広島すら過ぎていた。3時間半があっという間である。
しかし、この時の私の交通費は18,000円。飛行機組は10,000円前後。
(どうして距離的に近いはずなのに自分の方が高いんだ…?)
その後特急「かもめ」に乗り継ぎ、無事長崎に12時19分に到着。飛行機からバスに乗り換えた仲間とも無事長崎の地で合流することが出来たわけだが…
続きます。
過去にはこんなクソ旅してます。